今回は、仕舞「八島(やしま)」の動画です。※観世流梅若

正面カメラの映像と、頭上カメラの映像の二画面でお楽しみください。

●能「八島」あらすじ

讃岐の八島に立ち寄った都の僧がいた。僧は釣船から帰ってきた漁翁に宿を求めると、 翁は都の人と聞いて懐しげに招き入れた。 僧が、昔この辺りにおける源平合戦の有様を尋ねると、翁は話始める。時は元暦三月十八日源平両軍は海陸に対峙していた。義経は岸にいて馬に堂々と跨がり大音量に名乗った。その時、船を寄せて陸に上がった平家の悪七兵衛景清は、三保谷四郎とあの有名な錣引き(源平合戦の有名な一騎討ち。しころ=兜の首まわりをおおって防御する部分。)をしたのだ。そして、佐藤継信(義経の家臣)が討死したことなどを詳細に語る。僧は詳細さに驚き、翁に名を尋ねると、義経の霊であることをほのめかして消える。やがてその夜、僧の夢に、甲冑姿の源義経が現れる。 不覚にも引潮の波に弓を取り落とし敵船近くまで流れていったのを、後世までの名誉のために命を犯して取り戻したことを語った。今、修羅道でなおも戦い続ける有様を示す。 と思ううちに、夜はほのぼのと明けそめて、義経の姿も見えなくなってしまった。

●仕舞「八島」の謡

シテ「今日の修羅の敵は誰そ。なに能登の守教経とや。あら物々しや手並は知りぬ。思いぞいづる壇の浦の。」

地謡「その船戦今は早。その船戦いまは早。閻浮に帰る生死の。海山一同に震動して。船よりは、鬨の聲。」

シテ「陸には波の楯。」

地謡「月にしらむは。」

シテ「剣の光。」

地謡「潮に写るは。」

シテ「兜の。星の影。」

地謡「水や空空行くも又雲の波の。撃ち合い刺し違おる。船軍のかけひき。浮き沈むとせし程に。春の夜の波より明けて。敵と見えしは群れいる鷗。鬨の聲と聞こえしは。浦風なりけり高松の浦風なりけり。高松の朝嵐とぞなりにける。」

●仕舞「八島」の謡 

現代語訳 シテ「修羅道の今日の敵は誰だ。なに、能登守教経だと。なにを大袈裟な、腕前はわかっているのだ。おおあの壇の浦の船軍の様が思い出される。」

地謡「いや今またこの世に立ち帰って、生死をかけた戦いをすれば、海も山もみな震動して、平家方の船からは鬨の声(勝った時にあげる喜びの声)が上がる。」

シテ「源氏方の陸には盾が波のように並んでいる。」

地謡「月の光で剣が白々と光って見える。」

シテ「潮に兜の星影が写っている。」

地謡「水か空か、空か水か、空行く雲も波のように見える中に、撃ち合い刺し違うのだ。 こうして船軍の駆け引きに、浮きぬ沈みぬしていると思ううちに、春の夜が波間から明けてきて、今まで敵と見えていたのは、水上に群れ集まっている鷗、鬨の声のように聞こえていたのは、高松の浦風であった。

仕舞「八島」は、これまでに公開した動画の「型」で構成されています。

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